寒くなってくる季節、新調したセーターがすぐに毛玉だらけになってしまった!そんな経験はありませんか?
そもそも、どうして毛玉はできるの?
人は服を着て、動きます。カバンを肩にかけたり、子供やペットを抱っこしたりもしますね。このとき、人の動きや物の刺激が摩擦となり、服の糸は絡み合います。
そう。実は、この「摩擦」が毛玉の原因です。
摩擦によって、糸は絡み合い団子状態になります。これが”毛玉”の正体ですが、天然繊維であれば、自然に服から剥がれて落ちていきます。ですが、化学繊維が混ざっている糸では、剥がれ落ちずに服に絡みついたままになります。毛玉の原因は、摩擦で糸が絡み合うためではありますが、実は毛玉ができた後に違いがあるということです。
毛玉ができた後は、自然と剥がれ落ちていくのか、絡みついたままになってしまうのか、どちらかの状態になるということです。この状態は繊維の違い、天然繊維または化学繊維の違いと言い換えることができます。
この毛玉についての悩みには、素材の特徴を知る必要がありそうです。が、いちいち素材を覚えてなんていられませんよね。
天然繊維の毛玉には「ブラッシング」を
天然繊維の服であれば、毛玉は自然と剝がれ落ちますから、そこまで毛玉の心配をする必要はありません。ただ、着用後の手間をかけていただくことでさらに長く愛用できますので、ぜひ試してみてください。
冬の天然繊維の定番といえば、ウールです。ウールコートの場合には、着用後にぜひブラッシングを習慣にしていただければと思います。毛並みが整うことで毛玉の絡みが解消され、毛玉ができにくくなります。
簡単なブラッシング方法は、細かくリズミカルに上から下へ、今度は下から上へ、汚れを掻き出すようなイメージでやってみてね。最後に上から下へスーと汚れを流し落とすようにして完了だよ。
私はKENTというメーカーのブラシを使用しています。6年前に購入しましたが、毛が抜けることもなく、いまでも愛用しています。
化学繊維の服は、購入するときにチェックを
注意するのは化学繊維の服だということが、うすうすお気づきになってきましたでしょうか?では化学繊維は全部だめなのかと思いそうですが、天然繊維だけの服が市場には大変少ないのが現状です。天然繊維だけいいというのは現実的ではありません。
化学繊維は毛玉ができても自然に剥がれ落ちてはいかないことがわかりました。長く愛用するためには、いくつかのポイントを押さえていく必要があります。
化学繊維の場合は、毛玉自体を少なくする必要があります。つまり”摩擦”を少なくするには、どうしたらいいのかを考えていきましょう。
摩擦を少なくするためには、ざっくり挙げると、以下の2つのポイントに集約されます。
①(購入前)摩擦がなるべく小さくなる服を見分ける
②(購入後)摩擦がおきやすい行動を避ける
①(購入前)摩擦がなるべく小さくなる服を見分ける
冬にお店で出てくるざっくりニット。
とても可愛いのですが、糸が動く余地が大きいので摩擦が大きい服と言えます。そのため、化学繊維でできたざっくりニット服は、毛玉が大量にできます。一方で、化学繊維のニット服でも、目が詰まったものは、思ったほど毛玉ができにくい、あるいは出来ても小さく目立ちにくかったりします。
つまり、摩擦の大小は、「編み目」の「詰まり度合い」が重要な見分け方になります。
服をパッと見て編み目が細かいものであれば、糸が動く余地が小さいので、化学繊維でもざっくりのものと比べて毛玉ができにくく、お勧めです。
編み目の判断がよくわからないという方は、服を手に取り、少しだけ生地を横に引っ張ってみましょう。あまり力を入れると生地自体が伸びて服が変形してしまうので、少しだけ、でお願いします。
この時ぐーんとよく伸びるようであれば、糸が動きやすいので毛玉もできやすいと判断できます。反対に、ほとんど伸びないようであれば、糸は動きにくいため毛玉は出来難いと判断できます。
またどうしても判断に迷うという場合は「シャリ感」もみてみましょう。シャリ感に対するのは「ふわ感」ですが、こちらはイメージしやすいですね。ふわ感とシャリ感は相反するものですので、ふわ感を出そうとすれば、どうしても毛玉が出来やすくなりますし、毛玉を減らそうと思えばシャリ感が強くなります。
②(購入後)摩擦がおきやすい行動を避ける
購入前になるべく「摩擦」の小さい服を選んだら(デザイン重視で、あえて摩擦の大きいものを購入した場合は、この②のポイントで出来るだけ毛玉を減らしましょう!)
今度は「摩擦」が起きやすい行動を考えてみます。
よくある2つを紹介します。
・リュックや肩ひもタイプのカバンで出かける
・そのままで寝てしまう
②のポイントはこの2つ。これに気を付けるだけでもかなり毛玉は減るのではないでしょうか。この2つの行動を避けることは、服への思いやりといった感じです。
服をしっかり見るということ
デザインも大事ですが、「服自体をしっかり見る」って、意外と出来てなかったりしませんか?毛玉だけに関わらず、購入するときや使うとき、着た後、毎回やらなくってもいいです。ときどき服をしっかり見てあげるだけで、その後の生活が変わってくる気がします。
手間のかかる服が毛嫌いされる昨今ですが、わざと手間をかけてあげる服があってもいい気がします。ブラッシングしていると、知らず知らず愛着がわいてきます。このセーターは大事に着たいから、今日は肩紐バッグは使わないようにしよう、そんな思いやりで一日過ごすって、なんだか素敵ですよね!
2023/10/18 追記・編集 あすか
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