袖とTPOには関係がある?
Time-時、Place-場所、Occasion-場合の3つでTPOというんだよね?
スーツ姿で運動している人がいたら異様な光景ですよね。パーティーにTシャツジーンズで参加すれば周囲の人が不快になるかもしれません。
これははっきりと見てわかるTPOの違いです。
そして、見た目にはあまり気づきにくいかもしれませんが、実は「袖」にもTPOは存在しているというのが今回のお話です。
実は袖は、はじめに腕の角度をどこに設定するかを決めて作られています。極端な表現ですが、図にすると下図にある具合です。
この角度の違いは、TPOを考えて服を選ぶ際に、大変役に立つ情報を教えてくれます。今回は、「袖の角度」をふまえた服選びについてお話しします。
腕の開き具合は、見た目にも影響します。何故Tシャツは動きやすく、パーティードレスは立ち姿が美しいのでしょうか。
Tシャツでは、腕を高く上げることが出来る反面、腕を下ろした状態(動きの少ないとき)では、袖に多くのしわが出来ます。見た目に綺麗とは言いがたいわけですが、運動機能は確保されていますので、動きの邪魔をすることはありません。
一方パーティードレスを着たときには、腕を高く上げることはできませんが、しわが少なく綺麗な袖の状態を作ることが出来ます。静止状態が多いことを想定した場合では、運動機能を確保するよりも、静止状態が綺麗であることが重視されるためです。
つまり、袖の角度はTPOを考えているわけです。簡単な事例でしたが、2つの関係についておわかりいただけましたでしょうか。
では、具体的に服を選ぶときの「袖の角度」の見方についてお伝えしたいと思います。もちろん、試着をする必要はありません。
はじめに服を平らなところに置き、袖を伸ばします。ポイントは、肩から袖にかけてしわのないように置くことです。
このとき、わきのあたりに余分なしわが出来ますが、袖の角度を知りたいだけですので、こちらは気にする必要はありません。肩から袖にかけてしわのない状態、これがその服で設定された「袖の角度」です。ちなみに、シャツブラウスでは腕を45°の角度で上げた状態を基準としているものが多いようです。この角度をもとに自分のイメージする服を選んでみて下さい。
Tシャツを例に考えてみますと、スポーツをするわけではなく、ちょっとした外出をする程度の目的で購入するのであれば、スッキリと格好よく着たいと考える方が多いかと思います。その場合は、袖の角度が大きくないものを選ぶことで、袖周りのしわが少なくスッキリと格好いいTシャツ姿になるはずです。
顧客とデザインした人の意図が一致することは大変重要であり、それによって自然とその場にマッチし、自身は美しく映ります。
袖のテーマについて、他にも「袖幅」についての記事はこちらから。→「服活~袖~」