㊲”なんか良さそう”で選ぶとまずい。「良質な型紙本」を選ぶためのポイント3選

本とひよこのイラスト

@ぴよたそ

「型紙本を買って作ってみたけど、イメージと全然違った。」

そんなとき「私が上手に縫えなかったんだから。…しょうがないか。」なんて、自分を責めてはいませんか?

縫う技術もある程度は必要かもしれませんが、そもそも“縫いづらい作り(パターン)”というものも存在します。縫いづらいものを上手に縫えないのは当たり前です。

私自身、パターンをひけるようになるまでは、多くの型紙本を買ってみては服を作っていました。ただ、型紙通りに作ったのになんかイマイチ…と思うことも多くありました。

パターンや縫い方の勉強をして、服を0から作れるようになったとき、私は型紙の良しあしがだんだんとわかってきました。今回は、服作りの立場からみた型紙本の「いい本」について、4つの共通点をみつけ、まとめてみました。(※筆者の独断と偏見によることをご承知おきくだる方のみ読み進めてください※)

「良質な型紙本」のポイント①実務経験がある(デザイナーやパタンナーとしての経験)

プロフィール@photoAC

@photoAC

本屋さんに行き、大量のソーイング本の中からどれを買ったらいいのか本当に迷います。スマホでコメント欄を確認して買ってみても、失敗することも多々あります。

気になる本を見つけたら、まず見てほしいのは

「作者のプロフィール」です。

いまどき、肩書を気にするなんて…。と思われるかもしれません。ただここは、1番目に挙げているくらい重要だと私は思っています。肩書にかけるほどの内容がある人は、それなりの仕事量をこなしてきています。趣味から派生し個人で作家活動している人と、会社相手に大量の服を作ってきた人との経験値の差は、かなりのものだと理解しています。

「○○専門学校卒業」という学校名は怪しい(経験値は浅いかも…)

こちらも経験値という見方でいくと、学校を出ただけでは経験値は多くありません。

プロフィール欄にはその人のこれまでの経験が端的にまとめられています。その経歴を得るまでにはかなりの努力も必要です。ぜひ、経歴がしっかり書いてある方の本を手にとることをおススメします。

「良質な型紙本」のポイント②美しい写真

@photoAC

@photoAC

あなたが気になる型紙本があったら、本をパラパラめくって掲載されている写真を見てみましょう。

そのときの、第一印象はどんな感じでしょうか。

「あ、キレイ!」だけではいい本とは言えません。

それは、デザインに惑わされているだけかもしれないからです。

おもわず「美しい・・・」そんな感嘆の声が出れば最高に良い本に出合えたかもしれません。

ここで間違ってはいけないのは、写真が美しいということではありません。

美しい服だと感じる写真かどうか、という違いに注意です。

「美しい」と「キレイ」は別ものです。そういえば、あの岡本太郎さんの著者「自分の中に毒を持て」にも美しさについて語っている章がありますね。モノづくりをする方には共感する部分が多く、勇気をもらえる良本です。この本ご興味ある方は下の概要欄にのせておきますので参考にしてみてくださいね。

話がやや脱線してしまいました。美しいと感じられる型紙は、たとえしわしわ素材の服であっても、やはり美しいと感じるものです。

掲載されている写真からでも、その美しさは見て取ることが出来ます。ぜひ写真を見た第一印象を大事に見てみましょう。

そんなこと言われても、たとえばどんなところを見ればいいのか知りたい、そんな方もいらっしゃるかと思います。ショッピングをしたときと同じように、わかる範囲で見てみましょう。

へんなしわが出ていないか(浮きや、生地の波打ちなどもチェック)

表から「裏地」が見えていないか

縫い目がまっすぐになっていないところがないか、など。

いわゆる「完成度の高い」ものが写真にのっているかどうか、を見ます。神は細部に宿るといわれますが、小さなところもきちんとしているのが「プロ」の作った「いい本」です。

「良質な型紙本」のポイント③いろいろなアイテムが載っている(作るかは別として)

いろいろなアイテム@photoAC

@photoAC

もしあなたがプロのデザイナーで、今度型紙本を出すとしたら、と考えてみてください。「簡単に作れるコレをまず載せて、最後は難しいけどこれも載せてみようか」など、いろいろなアイテムを掲載しようと思うのではないでしょうか。

反対に、もしあなたが簡単なワンピースしか作ったことがなく、趣味のブログにのせたのをきっかけに本の出版を持ち掛けられたとします。そのとき、あなたはどんなアイテムを掲載するでしょうか。きっと、自分の得意なワンピースを基本形として、あとはバリエーションをかえて…と考える人が多いのではないでしょうか。(あくまで例え話です。)

極端ですがこの2つの例を考えたときに、著者がいくつもあるアイテムから最適なものを選んだ型紙本と、掲載数をかせぐためにバリエーションされた型紙本、私たちはこの違いに気づく必要があります。

・アイテムが豊富かどうか(偏ったものばかり作者が作っていないか)

・衿や袖、ポケットがある

反対にアイテムが少なく、生地違いのものえりくさん載っている」ものや、ギャザーやフリルなどの装飾でバリエーションをつけたものが多く掲載されていたら、その本は避けた方がいいかもしれません。

まとめ

「良質な型紙本」のポイントはこの3つです。

①実務経験がある(デザイナーやパタンナーとしての経験)

②写真の服がキレイ

③いろいろなアイテムが載っている(作るかは別として)

見た目の華やかさや可愛さで、ついつい内容をそっちのけで型紙本を買ってしまう気持ち、とてもわかります。ですが、せっかく自分の時間を使って作るのですから、少しでも失敗しない本を選びたい。数ある型紙本の中から「いい本」を選ぶために、服を作る立場の筆者が選んだ共通点でした。参考にしていただけると嬉しいです。

2024/10/9 追記・編集 ASUKATA 内野


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