世界三大刃物産地の「関市」へ
何年も前になりますが、私は「良いはさみが欲しい。」と洋裁初心者の頃によく思っていました。当時は安い鋏しか使っていなかったので、「良い裁ちばさみ」に憧れがあったのです。
さっそくある刃物センターへ行き、いかにも「キレそう」な裁ち鋏を手に取ったとき、私が感じた第一の感想は、
「重い!」
でした。手にずっしりと感じる重さと、値段の高さで、私は少々購入するかどうか悩みました。しかしせっかく買いに足を運んだのだからと、結局は購入して帰ることにしました。
買って帰って正解だった、よかった!私は使い始めて、すぐにそう実感たのです。
裁ちばさみ、名品とポピュラー品の「重さ」を比較
私は名品を手にする前まで、近くの洋裁店で購入した数千円の裁ちばさみを使っていました。こちらは洋裁店でもよく見る有名なメーカーさんのもので、非常にポピュラーなはさみです。
ちなみに、このポピュラーなはさみは「ステンレス製」です。
さっそく重さを測ってみましょう。
ポピュラーなはさみ(photo:ASUKATA)
ポピュラーなはさみは、およそ160g。
一方、名品の重さは、
関市の名品ばさみ(photo:ASUKATA)
なんと、251g。
手にずっしりくるのも納得です。この二つを比較すると、一般的なはさみの1.5倍以上の重さがあるということがわかりました。
こんなに重いと、絶対手が疲れるでしょ。でも、イイモノだから使わないともったいないかなぁ…。名品に対して失礼ですが、正直はじめはそんなことを思いながら、使っていました。
「ポピュラーなはさみで切ろう」軽さを理由に名品にあまり手を付けなかった私ですが、ある問題が起きました。
はさみを長時間使用して起こった問題
イベント前になると、私は数着分の生地を一気に裁断します。そこで起こる問題は、
長時間のはさみの使用は「手が痛む」ことでした。
いつものようにポピュラーなはさみを使用していて、だんだんと手が痛んできたので、何となく名品のはさみに変えたときのことです。今でもあの感覚は忘れられません。
重量のある名品はさみ、なのに「手が痛くならない」
長時間のはさみの使用は手の痛みを伴います。私はこれまで、これは職人病だなんて思いながら作業を行っていました。
「…あれ……手が、痛くない!!!」
あれほど痛かった手が、まったく痛みを感じなかったのです。
何とも不思議な体験でしたが、同時に驚愕しました。
ついさっきまで、長時間の使用で疲れていた手が、急に痛みが消えたのですから。
この体験ほど、名品の鋏のすごさに圧倒された瞬間はありません。
私は、それからというものはさみの重さは全く気にならず、裁断はずっとこのはさみを使っています。不思議ですが、それ以降、手が疲れるということは一回もありません。
名品のすごさ、驚くべし。
ちなみに、このとき購入したのは庄三郎の裁ち挟26cmです。今はもう一本(24cm)を持っています。庄三郎をおススメしているわけではありませんが、ある程度の名品と呼ばれる鋏はそれなりの理由があるのだと実感しました。ほかの名品でも、庄三郎でも、どれを使ってももちろん構いません。名品の良さをぜひ実感してみてくださいね。
ASUKATAでは、「なんで?」「どうして?」を大切に、独学から出発したいろいろな考え方をブログで紹介しています。答えはひとつじゃない、いろいろな方向から考えてみましょう!ではまた。