㊾産地で選べばハズレなし?!裁ちばさみ購入におススメの「日本刃物産地」

世界に誇る刃物産地、ニッポン

突然ですが、みなさんに質問です。

洋裁道具で重要なアイテム「裁ち鋏」ですが、実は日本のある地域が「世界三大刃物産地」として知られています。さて、それはどこでしょう? 

なやむぴよ

イラスト:ぴよたそ

答えは、「岐阜県関市」です。 

モノづくりをするものにとって、よい道具選びは重要です。そしてよい道具は、メンテナンスをすることで永く使えます。 

さて、今回はおススメの裁ちばさみを生産している 「おススメの産地」を、ご紹介いたします!産地について知っているかいないかで、あなはたの選択肢はかならず広がることでしょう。メーカーやブランドはご自身で自由に選んでみてくださいね。  

なぜメーカーではなく「産地」がおススメなのか

裁ちばさみ

写真:photoAC

産地と呼ばれる場所には、あるものが結集しています。

それは、長い歴史からなる「知識と技術」です。

鋏(ハサミ)はアナログな道具です。 パソコンのように、短い期間でイノベーションが起こったり、形や使い方がどんどん変わってしまうものではありません。 

このアナログな道具は、長い歴史をかけて知識と技術が伝承されます。 アナログなモノづくりに対して、世代を超えて極みを目指しているものに太刀打ちできるものはありません。 ここでは「歴史」がモノを言うと、私はそう考えています。

というわけで、今回は「刃物産地」についてご紹介していきたいと思います。 

主に刃物についてですので、裁ち鋏以外にも、もちろん包丁などを選ぶ際にも参考にできる内容です。 ぜひ産地について学び、良い道具を選んでモノづくりに励みましょう! 

日本三大刃物産地、成り立ちを知ると欲しくなる

これから紹介する3つの産地ですが、成り立ち(歴史)を知ると非常に興味深く面白いです。産地になるということは、理由があってなっているのだということがよくわかります。

なぜその(産地となった)場所で、刃物が盛んに作られるようになったのか、産地の発表とその謎に迫ります。

①「岐阜県関市」

写真:関市刃物産業連合会・関市刃物会館HP

先頭でご紹介した通り、世界三大刃物産地のひとつでもあるのが岐阜県関市です。そのほかドイツのゾーリンゲン、イギリスのシェリンガムが世界三大刃物産地に数えられています。

岐阜県関市は、鎌倉時代から室町時代初期にかけて、なんと800年の歴史がある刃物産地です。

当時戦さから逃れた刀鍛冶の人々が、たまたま関で刃物作りに必要な良質な素材を見つけたことがきっかけでした。また、明治より積極的に海外へ輸出されたことで認知が広がり、世界三大刃物のひとつとして数えられるようになったのです。

「刃物リサイクル」やってます

関市では、毎年11月8日に刃物の日として供養祭を行っています。その後リサイクル・リユースしているそうで、刃物回収についても記載されています。きちんと供養までしてくれ、大変エコな活動です。ぜひご活用ください。

②「大阪府堺市」

イラスト:(公社)堺観光コンベンション協会公式サイト

堺市は、600年の歴史をもつ刃物産地です。

どうして大阪堺市で刃物が盛んになったかというと、堺観光コンベンション協会公式サイトのイラストにも出てきている「古墳」がキーワードになります。

堺市と言えば「仁徳天皇陵古墳」で有名です。

それは奈良時代にさかのぼります。当時、この古墳作りのために大規模な土木工事が行われました。このときに、工事にかかせない鋤(くわ)、鍬(すき)などの土工具が、堺市で沢山生産されたことがきっかけで、刃物作りの町へと発展したのです。

また、徳川幕府の時代(1573年~)には、たばこの葉を刻むための「たばこ包丁」というものが堺で生産されるようになりました。そして世間に堺の刃物産地が認知されるきっかけとなったのが、幕府が「堺ブランド」としてこれを専売したことです。

今ではたばこ包丁は使わなくなりましたが、刃物産地としていまだに刃物の伝統は続いています。

③「新潟県三条市」

新潟県HPより

新潟県には日本を代表する川、「信濃川」が通っています。この信濃川、刃物産地となった原因(?)のひとつでもありました。

「伊勢神宮」につかわれる三条市の「和釘」

和釘

画像:illustAC

三条では、「和釘」が有名です。三重県伊勢市にある「伊勢神宮」では、20年に1度「式年遷宮」という建て替えが行われています。平成元年より、三条市の和釘が使われています。

始まりは江戸時代初期、三条市にある信濃川の支流「五十嵐川」で氾濫がおき、農民はこれに大変苦しんだそうです。これを救うために、お役人さんが「和釘作り」を奨励したことが始まりと言われています。今でいう、副業ですね。

そして、この和釘作りを副業とした農家の中から、鍛冶専業が誕生します。少しずつ鍛冶が増えていき、今の刃物産地へと発展しました。

長い歴史で消えなかったモノづくり、選ばない理由がない

産地になった理由、大変興味深い内容でした。

長い年月をかけて作り続けられたモノづくり、そして消えずに残ってきたモノづくりです。歴史が作ってきたものに、少し触れてみたいと思ってもらえると嬉しいです。

ASUKATAでは、「なんで?」「どうして?」を大切に、独学から出発したいろいろな考え方をブログで紹介しています。答えはひとつじゃない、いろいろな方向から考えてみましょう!ではまた。

参考HP

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