㊺「服の機能性」ばかりに気をとられている人が忘れがちなこと

いろんな服

現代において技術進歩とともに、服の機能性は日々向上しています。様々な服が洗濯機で洗えるようになったかと思えば、撥水や紫外線カット、冷感機能が付いた服まで多様です。便利な機能が服に備わることは、消費者にとっては嬉しいことには変わりありません。

しかし、このまま機能性を求め続けるとすれば、服はどうなってしまうのでしょう?

自然の機能性で満足していた過去

本来、天然繊維には機能性が備わっています。綿は肌触りが良く汗を吸収してくれるし、シルクは呼吸をしているかのように肌に負担がなく、麻は涼しく、ウールは適度に暖かいのです。

あらゆるものに機能が備われば「それはいい」と思う人も多いかもしれません。魔法のような、ドラえもんの道具のような服があったら?果たして、人間はそれで満足するのでしょうか?

別に「手洗い」をすれば問題ない、ものかもしれません。

「アイロン」を出して服のしわを伸ばしてあげればいい、のかもしれません。

魔法のような服を作ったとしても、きっと毎日それだけを着る人はほとんどいないのではないでしょうか。

機能性は「丁寧-Teinei」を封印する

洗濯

これは私のイメージですが、機能性を高めすぎていくと「丁寧」が消えていきます。

なぜ丁寧にするのかといえば、今目の前にあるものを、なるべく長くそのままの状態であってほしいという気持ちになるから、なのではないでしょうか。そこに自分事はなくて、まさに自分の目の前にあるモノやヒトに対して、思う行動が丁寧になるのだと筆者は考えています。

機能性を追い求めるのは必要なことです。進化を止めることはできません。ですが一方で、丁寧が消えていっている、という意識を持つことも必要なのかもしれません

機会性のない服

浴衣

私が勝手に作りました。機会性という言葉があるのか、あれば本当の意味さえ知りませんが、機能性に対して思った言葉です。

人は様々な機会があります。「せっかくの機会だから。」浴衣を着て花火を見に行こう。1年で数回しか着ないかもしれない浴衣ですが、意外とみなさんお持ちのはずです。ここに機能性が入る余地はほかの服ほどありません。これは、最高の機会性のある服です。

「どこにでも着ていける服だね!」これが私の思う機会性のない服です。

どこで、誰と、何をするのか。ファッションのTPOという言葉があまり見られなくなったのは、服の機能性が向上したことも要因のひとつなのでしょうか。

機会によって、ファッションを変える。

機能性ばかりに気を取られると、意外と忘れていくものかもしれません。

機会性>機能性のときもあっていい

服を選ぶ

機能性ばかり求めると、服の意味や価値があいまいになってくることがあります。

機会と機能。

バランスを取りながら、自分のファッションを作れたら、それって結構カッコいいです。

服を着るのに、いろいろ考えて着ている人なんだな、そう思える人はおしゃれに見えますし、なんだか丁寧さがあって好感度が高いです。私もそんな人になれるように努力したいものです。

”ASUKATAの独学で洋裁”では、「なんで?」「どうして?」を大切に、独学から出発したいろいろな考え方をブログで紹介しています。答えはひとつじゃない、いろいろな方向から考えてみましょう!ではまた。

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