なんだかアニメの主人公みたいな感じのタイトルになってしまいました(120歳の主人公って…)。
年数はおおよそですが、これらの素材はびっくりするほど歳が離れています。
ここ最近、お仕事で「レーヨン」や「テンセル」についての話題があったので、私はこの二つの繊維について気になっていました。レーヨンって、木材だったっけ?テンセルって何だっけ?もう、何がなんだか!これ、以前の私です。
服作りにおいて素材の知識は重要です。今日はレーヨンとテンセルについて、服作りをする上で知っておいて良かったという内容だけ(私の独断と偏見によって)ピックアップしました。服を作るときの参考にしていただけると嬉しいです。
レーヨンとテンセルって、似てる?
Photo@パブリックドメインQ
どちらも木材を原料とした繊維です(テンセルはユーカリの木が多いです)。私からすれば親戚のように似ています。
この二つの素材、共通しているのは、
- 柔らかさ
- 吸湿性の高さ
- 通気性の良さ
です。一方で
- 強度
- 環境負荷
については違いがあり、レーヨンはテンセルに比べどちらも劣っています。
レーヨンは水に弱い、とはみんなが知っている事実…。一方テンセルは、ポリエステル並みの強度をもつとか。
毛玉(pilling)の違い
強度が違うということは、毛玉にも違いができます。レーヨンの服や小物を身に着けたとき、気づけば毛玉だらけになっていたことはありませんか?レーヨンは、テンセルに比べて繊維が柔らかく、摩擦に弱い傾向があります。低品質のレーヨンはなおさらで、毛玉ができやすいのです。
一方テンセルは摩擦に強く滑らかな素材なので、毛玉ができにくい特徴があります。毛玉にも違いがあったなんて。似て非なるもの、それがレーヨンとテンセルです。
テンセルより、レーヨンの方がよく見かけるのはなぜ?
@photoAC
先ほどあげた特徴をみてみると、レーヨンよりもテンセルの方が品質的にはいいもののように見えます。ですが、買い物にいくと「テンセル」よりも「レーヨン」のほうをよく見かけませんか?
どちらも木材から出来ているのに、なぜ?そもそも、同じような素材が2種類存在するのはなぜ?私が思っていた疑問は、あるふたつが関係していました。
それは、「製造プロセス」と「コスト」です。
木材の塊を薬品で溶かして、とろとろになったものを糸にしよう!これが再生繊維のイメージです。レーヨンとテンセルは、使う薬品が違うのです。薬品が違えば工程も変わりますね。
さらに言えば、レーヨンの方が化学薬品を多く使用(硫酸などの強い薬品など)するため、環境への影響は大きくなります。ただどちらも、製造プロセスに違いはありますがやっていることは一緒です。木材の塊を薬品で溶かして、とろとろになったものを糸にしているというのに変わりはありません。
レーヨンの方が薬品多く使うし環境にやさしいのはテンセルなのに、なんでいまだにレーヨンなの!と思うところで「コスト」が降りかかってくるのです。
レーヨンの120年の歴史が、コストでものを言う
photo@パブリックドメイン
レーヨンはテンセルに比べて、圧倒的な歴史をもっています。
この長い年月をかけて、レーヨンは製造技術を確立し、広く普及させてきました。よって、低コストで大量生産が可能になりました。
SNSで「100均にあるもので、こんな便利なものがつくれます!」とあれば、すぐにみんな作るでしょう?コストが低く抑えられることは、すべてのひとにおいて魅力的なものです。
どちらを選ぶかは自由
どっちが悪でどっちが良い、ということは一概には言えません。両方の特徴をよく知ったうえで、素材を選ぶというのが大切なのかもしれません。
この二つの特徴を知るまで、あまり深く考えることなく生地を選んでいる人も多かったのではないでしょうか。私も含めて、これからはよく考えて生地を選んでいきたいですね。
2024/5/15 ASUKATA
<参考資料>
・テキスタイル事典 閏間 正雄監修
・わかりやすいアパレル素材の知識 ファッション教育社