日本の美意識で世界初に挑む(ダイヤモンド社/細尾真孝著)
西陣織と聞くと、私はお年を召した方が書いた本かな、とイメージしてしまいます。(すみません)
細尾さんは2024年時点で、40代のお髭が生えた意外と若い方でした。
彼は、西陣織の老舗で生まれました。一度はミュージシャンという別の道に進みましたが、後に自分のお店の跡を継ぎます。そこから、西陣織の技術を活用したテキスタイルを世界に広げた人として、国内外問わず有名になりました。そんな方が執筆した今回の書籍、2021年発刊のものですが、読んで良かった!そう思わずにはいられない内容になっています。
発刊当時にこの本を読みましたが、今でもときどき読み返しているほど、私にとっての教科書です。そんなとっておきの本を今日はご紹介いたします。
有名ブランドが続々と西陣織に魅了された
レクサスの内装に西陣織を使用したことや、ディオールやシャネルなどの有名ブランド店の内装に、西陣織が使用されているのをご存知でしょうか。
作り手視点の言葉で書いてあるところに、グッとくる
写真@ふくなな
この「作り手視点」というのが、読んでいて意外と少ないと感じるのは私だけでしょうか。
有名になる前、売れる前には、かならず作り手の”葛藤”があります。この本では、どんなすごい人でも苦労した経験がたくさんあるんだ、と思わずにはいられません。モノづくりをするすべての人が共感し、さらに勇気を与えてくれる本だと私は感じています。何を隠そう、私が勇気をもらった一人なのです。
「いいものを作れば売れる」わけじゃない
この本の中で、私が一番心に残った内容です。
いえ、本当はもっと大事なことはほかにもたくさん書かれています。ですが、私にはこの言葉がグサッと突き刺ささりました。私はこの章を読んだとき、共感と納得が重なりあう、その言葉を誰かに言ってほしかった、そんな気持ちになりました。
モノづくりは、自分の作りたいものと世の中の求めるもの、この二つが重なりあうところがどこなのか、探るのは本当に難しいです。どんなものであれ、モノづくりをする人ならば共感するでしょう。彼であっても例外ではなかった、ということを知ったとき、私はとても勇気をもらいました。自分も今は途中経過なのだと、思えることができました。
お金のこと、生活のことを考えれば、世の中の求めるもの(決して自分がやりたいわけではないもの)を作らざるを得ない。だけど情熱や楽しさは少ない。反対になれば今度は生活が出来ない。
岡本太郎さんの本にも、そんな内容があったのを思い出します。みな、モノづくりをする人に立ちはだかる壁なのかもしれません。
行動あるのみ
この本を読んだ後は、行動あるのみだと感じました。勇気をもらい、行動する気持ちになる。こんな素晴らしい本はなかなかありません。彼は、0ゼロから1を作る立場の人です。
日本の美意識で世界初に挑む
ダイヤモンド社/細尾真孝著
定価:1,650円