私は独学で服作りを学んできました。資格を取得し、今は半分個人活動と、半分アパレル企業で働きながら、今も独学中です。意外と私のような人が周りにいないのが現状です。これから服作りを学びたい人、学んでいる人が、こういう意見もあるんだと知ってもらえると嬉しいです。今回は独学者の立場からわかったこと、伝えたいことをまとめてみました。
学校に通わなくても服は作れる、必要なのは「師匠」を見つけること
@Canva
それが私なりの答えだ。
師匠が必要であることについては後半に記述するとして、一般的に私たちが考えがちな服作りを学ぶ方法には以下の4つがある。
①通信教育を受ける
②洋裁教室に通う
③専門学校へ行く
④独学
(両親が服作りを生業にしている方は例外)
このうち④独学は、情報元が限られ、そのため多くのエネルギーが必要だ。服作りの世界では(一流ブランドの場合はとくに)、パターンについての高度な技術は極秘情報であり、インターネットなどの開けた世界にその情報が漏れ出ることは、ほとんどないと考えた方がいい。実際に独学から始めた私が言うのだから、あながち間違えではないだろう。一流のシェフが秘伝のレシピを公開しないのと同じだ。
なので独学は、一般的にみんなが選びやすい道ではない。だから、まず④はパスをする人が多いだろう。
学生であれば、学校に通った方がいい
何かを学びたいとき、まず思い浮かぶのは「③専門学校へ行く」である人が多い。だが、思い浮かぶと同時に、これには時間とお金が必要である。これが出来るのは、10代の学生たちがほとんどだろう。若い君たちがこの記事を読んでくれているのなら、迷わず学校へ行ってほしい。
学校へ行くことの最大のメリットは、師匠を探しやすいこと、コンテストなどのチャンスにトライできる機会が多いこと、そして「仲間をつくれること」だ。仲間をつくりに学校へ通ってみたいと、私は思う。どんなことにおいても、同じ志の仲間を作ることは非常に大事だ。
大人は、通信教育・洋裁教室に通う人が多い
一方、学生時代を通り越した大人は、時間という資源が乏しい。今の日本では、人生の途中で学校に行くことは、まだまだスタンダードではない。ましてや仕事、子育て、介護などをしている人たちは、家族を巻き込んで勉強をすることになるだろう。大人になってしまうと、学校へ通うということは現実的ではなくなってしまうのだ。
そこで、真剣に服作りを学びたいと思う彼らが一番身近に出来ることは、①通信教育を受けるまたは、②洋裁教室に通うことの2つになってくる。
さて、ここで一度振り返ってみてほしい。彼らはなぜ、真剣に服作りを学びたいのだろう。私はとある洋裁教室で、何人もの大人が先生に質問をしているのを聞いたことがある。みんな一様に同じ質問をしていた。
「服づくりを仕事にしたいんですが、できるようになりますか?」
真剣に学びたいのは、夢があるから
私たちは、夢があるから本気で学ぼうと行動する。ただ服作りにおいては、どこに行けば本気で学べるのか、わかりづらい。初心者の段階から、ある程度は上達していく。しかし、どこかの段階で、師匠がいなければ行き詰ってしまうのだ。
わたしもそんな一人だ。
私は始め、独学から服作りを始めた。この時点では、自分でデザインした服が思いのまま作れるなんて夢のまた夢であった。正直、縫うことはできた。だが、0から自分でパターンを引くことは出来なかった。その後、私は通信教育を受けた。少しは自分で引けるようになったかもしれないが、結局は教科書からはみ出たものは作ることが出来なかった。私は、あのファッション雑誌に載っているような、クールな服が作りたいのだ。だが、それを叶えることは出来なかった。
いい先生を引き当てろ
私はラッキーだった。
独学や通信教育では、どうしても現実の世界は見えてこなかった。私はしばらくそこに行き詰まり、焦る気持ちでいた。次は洋裁教室しかない。とにかく誰かに話をききたい。そんな思いから、自宅から通えそうな洋裁教室を探し、その門戸を叩いた。
世の中にある教室では、ビジネスに走ったものが多くある。洋裁教室は、意外と通わなくなる人が多い。それならとばかりに年間払いをさせられたり、パターンなんて一切教えてもらえず縫いばかりのところだったり、高額なミシンを買わされたりするところは、あちこちにあるのだ。
わたしがラッキーだったのは、そんな先生に当たらなかったことだ。そして、さらにラッキーなのは、服作りについて、私が知りたいことを何でも知っていて、それを余すことなく教えてくれる先生だったのだ!
洋裁教室を探す際は、必ずプロフィールをみてほしい。その先生が、どういったやり方で服を作っているのかがわかるはずだ。服作りに資格は必要ない。アマチュア・プロが混ぜこぜで存在しているので、よい先生をみつけようとすれば目利きが必要になる。
そこで私のひとつの判断基準がプロフィールを見ることだ。ある程度の知識と技術を身に着けた人であれば、それなりのことが記載されているはずだ。何もなく、ただ趣味の延長のようなプロフィールだったら、少し注意しよう。
行き詰まりの壁を壊してくれるのは、師匠
師匠と会って1年ちょっとが経った。自分の服作りに対する知識や技術は、飛躍的に上がった。あんなに分からなかったのに、今は自分でデザインした服がどうやったらその形にできそうか、頭の中でパターンを想像することができるようになってきた。そして、それは他人の目から見ても変わったに違いなかった。おのずと、個人の注文が増えてきたのだ。最初はすぐに仕事は来なくなるだろうと思っていたが、今は連続して注文の相談が入ってくるようになった!信じられない!
師匠は私に勇気も与えてくれる。「こうやって、みんな最初は小さな仕事をもらって、そのうち顧客が増えていくのよ。あなたも頑張って!」と言われたときはやや疑心暗鬼だった自分がいた。だが、ずっとこの言葉を励みにしていた自分もいた。少しずつ状況が変わっていく中で、今もこの言葉が私を支えてくれている。
独学や通信教育、学校や教室、結局どこで学んだっていい。ただいづれ、師匠を見つける必要が出てくるタイミングが訪れるはずだ。コンタクトがとれれば誰だってかまわない。Youtuberのファッションデザイナーの先生だっていいかもしれない。