㉗夏の「ウール」

ウールは冬のイメージがありませんか?実は夏にも着れる万能素材だったのです。

1. ウールは健康的でサスティナブルな素材

科学的根拠がまだ十分ではないとはいえ、一部の研究や専門家らによって、ウール製品が健康にいいという主張は支持されています。とくにウールとアレルギーに関しては注目が集まっているようです。

太古より人間は羊を飼い、紀元前5000年頃にはすでに広く羊毛を扱ってきたと考えられています。古くから利用されてきた羊毛、経験的に安全が確認されている繊維ですから、これを避ける理由はありません。

最近は化学繊維に圧倒され、ウールの服を手に取る機会はあまり多くはありません。ですが、一度ウール100%の服を着てみると、化学繊維や合繊繊維の違いを肌で感じることでしょう。

2. ウールはさわやか?

ウール君

もこもこで暑そうにみえるケド…@ぴよたそHP

その理由は、

蒸れないように汗の蒸気はたっぷり吸ってくれるけど、熱を下げるための汗の水滴は吸わないようにしてくれる構造であるためです。

専門的に言えば、吸湿性が高いが疎水性がある、と表現します。

暑いとき、人間は汗の気化熱を利用して体温をさげます。ここで汗を拭いてしまうと、体は体温を下げられずもっと汗をかいて体温を下げようとするでしょう。

私たちはそこで汗を拭かずにいれるのであれば問題はありませんが、服にべとついて気持ち悪いので、つい汗を拭いてしまいます。

ところが、ウールにはそのべたつきが発生しません。ですので、しばらく汗をかいたまま体温が下がるまで待つことが出来ます。

汗をかいた後にクーラーの効いた涼しい部屋に入ると、今度は風邪をひきそう。そんな問題も、ウールの服を選ぶことで解決します。ウールは水分を適切に管理してくれるため、寒い部屋では冷えすぎない快適な体温に保ってくれるのです。

3. アイロンいらず

アイロン

ウールは、髪の毛と同じキューティクル構造なので、しわがつきにくい素材です。

自分の髪の毛を想像してください。手でくしゃくしゃっとして、髪に折り目が付いたら大変ですよね。ウールも同じ構造なので、折り目は付きにくいのです。

なのでアイロンをかけなくても着ることができます。自然素材が好きで綿や麻の服を着ている方は、ぜひウールも検討してみてください。管理が大変楽になります。

4. 洗濯は多くてもシーズンに1度

「ウールは毎回ドライクリーニングが必要で面倒。」と思うのは早計です。

ウールは、シーズン(3か月)に1度の洗濯でいいのです。この場合はクリーニング、もしくは中性洗剤で優しく洗濯をしてください。

私は去年からウールの服を愛用していますが、感想としては、非常に「楽」の一言につきます。

シーズン中は洗濯の必要がないので、ウールの服を着た後は、ハンガーにかけるだけで済みます。汚れはブラッシングで落とします。

飲み会などで服についた匂いが少し気になる…というときには、蒸気がたっぷりあるお風呂に一晩つるしておくだけで、においは軽減します。(ついでにしわも伸びます。)

真夏に着るウールは汗が気になるので、シーズンオフにクリーニングに出します。ですが、正直冬物のウールパンツやジャケットは、出さなくても全く問題ありません。ブラッシングをしてハンガーにつるしておくだけで、十年は着ることができます。サヴィル・ロウでは、ウールスーツが有名ですが、ほとんど洗わないんだとか。

イギリスでは洗わないのがクールであるという「no wash」「low wash」がトレンドであるそう。(yahoo ニュースより)ウールの服が、これからますます増えていくことを願っています。

-参考URL-

Best Wool Club ウール繊維についてのレポート

東京大学 毛織物の圧痕

クロップオザキ テキスタイルコラム-羊毛の利用のはじまり

BBC News Japan「服を洗わないで」 ステラ・マッカートニーさんの主張は正しいのか

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