「なぜ冬の服は静電気がおきやすいのか」です。これについては調べればいくらでも出てくるので、この記事では割愛します。
静電気をなるべく発生しないようにするには、帯電をどこかで食い止めればいい、ということで今回は、タイトルにもあります「綿」素材の服を「間にはさむ」ことで、静電気をなるべく防いでいこうという記事になります。
綿という繊維は水管という空洞があることで、水分を保持しやすい構造になっています。綿は繊維の中で、唯一の絶縁体として知られます。素晴らしい。
着る服全てを綿の服にする必要はない
綿素材がいいとは言っても、綿素材ばかりの服しか買えないのは困りものです。
そもそも市場にある服の多くは綿100%の服ばかりではありません。クローゼットにある服をすべて綿100%に切り替えるというのも現実的ではないので、なるべく今すぐにできる対策を考えていきましょう。
キーワードになるのは「綿」ですが、みなさんのクローゼットの中にも綿100%の服を1枚は持っている、という方は多いかと思います。そして冬になればトップスの上に、コートやジャケットの上着を羽織りますね。
そのときに、「綿」素材の服を「間に」はさんでみましょう。今日は肌着に綿素材、明日はトップスを綿素材…そうするだけでも、静電気は起こりにくくなります。
ただ、ひとつ注意してほしいのは、重ねるアウター自身が静電気を発生させていることがある、ということです。
静電気大発生の「アウター」になる!表地と裏地の組み合わせ
綿100%のアウターがあれば、それに越したことはないのに…。そんなものは、なかなかないのが現状です。ただ、このアウターは静電気がよく起きるなぁ!と思うものがあれば、これは静電気がほとんど起きないな、と思うことはありませんか?この違いはどこからくるのでしょうか。
冬物(上着)の素材で多いのは、ウール(毛)やポリエステル、アクリルです。
そしてアウターには、ほとんどのものに「裏地」というものがついています。先ほど挙げたものは、表地でよく使われる素材です。
ここで着目するのは、表地ではなく「裏地」の素材です。
近頃のアウターでは、裏地に「ポリエステル」が使われることが多いです。が、このポリエステル素材の裏地を選んでしまうと、静電気に悩まされることが多くなります。
一番静電気が起こりやすいのは、表地が「ウール」で裏地が「ポリエステル」の組み合わせです。
これは、ウールはプラスに帯電しやすく、ポリエステルはマイナスに帯電しやすいことが原因です。つまり、プラスとマイナスが合わさることで、バチバチと静電気が発生しやすくなるというわけです。
せっかく綿素材のトップスを着ていても、アウター自身が静電気が起きやすいコンビで作られていれば意味がありません。表地と裏地の関係は、必ずタグの組成表をみて確認して購入しましょう。ちなみに、ポリエステル素材が悪というわけではなく、表地・裏地ともにポリエステル素材などのマイナスに帯電するもの同士であれば、問題はありません。(ただ、このとき下のトップスにウールを着るとバチバチになるので注意してくださいね)
裏地が「キュプラ」であれば最高
キュプラは「綿」を原料に作られています。
最初にお伝えした通り、綿は絶縁体です。裏地が「キュプラ」である場合は、コートやジャケットの表地を気にせずに購入できます。さらにキュプラは、高価な裏地として使用されるため(スーツの裏地などでよく見られます)、品質も最高です。
もしハンドメイドでコートを作る方がいらっしゃれば、迷わず「キュプラ」素材をおススメします。
まとめ
・ 着ている服のどれかに「綿」素材の服をはさむ(全てを綿の服にする必要はない)
・ 静電気が起こりやすい「アウター」の組み合わせを避ける(表地ウール+裏地ポリエステル)
・ アウターの裏地はキュプラが品質ともに最高
今年も冬が近づいてきました。静電気を気にせず、心地よく過ごしていきたいですね。
このページでは、服を作る立場から、みなさんの服活に寄り添う情報をお届けいたします。
他にも、冬にまつわるお悩み「毛玉」についてはこちらから→【毛玉のできやすい服、できにくい服】
2023/10/26 追記・編集 あすか