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はじめに作図した原型は「たたき台」
あなたは一発で料理のレシピを製作することはできますか??どんな有名なシェフだって、一発で思い通りのレシピを作ることは容易ではないはずです。
これは服の世界でも同じ。一回作っただけの形がぴったり自分に合ったものになっているというのは、ちょっとあり得ないことなのです。
シェフは何度も試作し、調味料や材料を補正して、自分の理想の味や形に仕上げていきます。
服の世界でも「補正」というものを行います。
通信教育だからというわけではなく、服のパターンを作るときは、はじめに原型という元となるカタチを作図します。ですが、この段階を丁寧にやっていない(またはわからないまま)人が多いように感じます。
それを顕著に思った出来事があるのですが、文化服装学院通信教育の指導員が集まるオンライン会議のことです。みなさん各々研究内容を発表していたのですが、一様に「原型が合わなくて」とおっしゃっていたのが本当に印象的でした。指導員であっても、原型の補正に苦労するようです。
補正していない原型は、ほぼ間違いなくあなたには合っていません。
始めの原型は「たたき台」です。
たたき台のレシピのまま、お客様に料理を出すシェフはいないはずです。
何度も補正して原型を完成させよう
たたき台が完成したら、完成に近づくように何度でも補正をしましょう。
図のように書くと簡単ですが、補正をしては何度もシーチングで組みなおすという作業は、正直面倒くさいです。通信教育を始めたばかり、製図や服作りになれていない人であればなおさらです。
ですが、かならず納得いくまで作り直しましょう。ここは建築でいう基礎の部分です。ここがしっかりしていないと、上にできる建物にちゃんとしたものは作れません。
補正の仕方も教科書に書いてあります。補正は、生地がどこで歪んでいるか、どこで引っ張られているか、変化を観察します。
その歪みをどうやって取り除いていけばいいか(補正の仕方)は、正直に言えばドレーピングなどの知識や長年服を扱っている方でないとわかりづらいかもしれません。初心者の場合は、わからないことがわからない状態なので、ここで時間をかけて悩んでも無駄な時間になることがほとんどです。実際に私もここで多くの時間を浪費してしまいました。
【初心者向け】誰かにすぐ聞こう!
正直に言うと、補正はかなり難しいテクニックです。私自身、いまだに勉強中の内容になります。ですので、初心者の方は無理をせず、素直に周りに聞いてみましょう。
生地の変化している部分をメモしておき、補正の方法をよく知っている人に聞いてみましょう。もしできれば、目の前で原型を着てみてもらうのが一番手っ取り早い方法です。近くに洋裁教室の先生がいるのであれば一番ベストですが、通信教育をしている方々の中では一人で頑張って取り組んでいる方もいます。その場合は、早めに指導の先生に相談してみてください。
筆者も愛用のおススメ型紙補正本はこちら!
そんな私ですが、当時は聞けるような先生もおらず、通信教育の先生にも聞き方がわからず…一人で試行錯誤しながら、最後まで頭を抱えて取り組みました。ネット上には情報がなかったので、私は本屋で見つけたこの本を頼りに、何度もこれを見ては補正を繰り返しました。
数年経った今でも、私はこれ以上に原型の補正をうまく解説している本をまだ見つけられていません。素晴らしい本に出合えて本当によかったなぁと感謝しています。独学で通信教育を受けている方に、大変おススメです。ぜひこの本片手に、原型補正を頑張ってみてください!
はじめでコケると、サクサク進まない
始めの原型をきちんと作っておくことは、算数と似ています。四則演算がきちんと出来ていないまま文章問題を解いても、結局計算でつまづいてしまい正解することが出来ません。
課題をサクサク進めるコツは、一番初めの基礎をキチンと完成させることです。
一人で鏡を見ながら何となく補正した原型を作った私ですが、それ以降は悪夢のようでした。
この基礎とよべる原型を使ってすべての課題が進むのです。
新しい課題になるたびに、原型までさかのぼって補正・再度指導、この繰り返しでした。課題にすらとりかかれず、作業はどんどん時間がかかってしまいました。私は原型をキチンと完成させていなかったことに本当に後悔しました。
自分の体型を把握しておこう
人は常に服を着ています。今までに、なんだかいつも服が後ろにもっていかれて苦しいなとか、いつも袖周りがきついなとか思っていたことがあれば、ぜひメモしておきましょう。補正に大いに役立ちます。
原型できちんと補正ができていれば、その後どんな服をつくってもきちんと自分に合う服を作ることができるようになります。つまりは、作業がサクサク進むのです!
私の感想ですが、通信教育では難しいことと言えばこの補正済みの原型を作ることだけだったように思います。ジャケットを作るときだって、コートを作るときだって、基本的に教科書に書いてあることがほとんどで、ネットや動画でも調べることが出来ます。ただ、補正は正解がわかりづらいうえに、一番初めに行わなければならない課題です。ここを乗り越えればあとはサクサク進むので、基礎固めだと思ってしっかり取り組んでみてください。
他にも通信教育についての記事はこちら(線を”美しくきれい”に描くこと/課題のデザイン決め)
2024年3月7日 追記・編集